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宮城の方言は意味は難解だけど響きがかわいい!
宮城県は東北地方で最も人口の多い都市です。人口は宮城県で230万人、県庁所在地である仙台市は108万人です。宮城県は東北地方各地から人が集まってくる土地です。
宮城弁の方言は強くはないものの、イントネーションやちょっとした言葉遣いに特徴があります。ズーズー弁だとかわいいよりも田舎の感じがして若い人はあまり使わない傾向があるため、方言が徐々になくなってきました。
このため宮城の人は基本的に自分はあまり訛っていないと思っていることが多いようです。実際に強い癖はない方言ですが、所々方言が出ることがあります。他の地域の人からはかわいいと感じるかもしれません。
語尾が特徴的でかわいいとも言える宮城弁についてご紹介していきます。代表的なものでは「だっちゃ」や「んだ」といった方言があります。「だっちゃ」は相槌として使うときは「そうだよ」ですが、「~だっちゃ」と語尾に付ける時は「~です」の意味になります。
方言の詳しい知識を付けたり、イントネーションをマスターすることは時間がかかります。転勤、転校、出張などで宮城に行く方などは宮城特有の単語などは知っておくと地元の人とすぐなじむことができます。今回はかわいい宮城の方言をご紹介します。
宮城の方言「宮城弁」とは?
宮城弁は東北地方の他県の方言と似ているものが多いです。東北地方の方言の総称が「ズーズー弁」と言われることからも共通点が多いことがわかります。
宮城弁は基本的な共通点として、語尾が特徴なことがあげられます。宮城弁と言っても県内中心地である仙台市とその他では方言が異なります。この語尾の特徴が宮城の方言がかわいいと感じる理由です。
大きく分けて3種類ある
宮城県は中心部である仙台市、福島県にほど近い仙南地域、岩手県方面の三陸地域に分けられます。岩手県、福島県もそれぞれ独特の方言があるためその特徴を少しずつ引き継いでいるようです。
「三陸方言」・「仙南方言」・「仙台方言」
宮城県は地域を大きくいくつかに分けることができます。仙南地域は白石市、角田市、柴田郡、刈田郡、伊具郡のあたりを指します。県南地域とも呼ばれます。福島に近く、比較的暖かい地域です。三陸地方は気仙沼市、南三陸町、登米市、石巻市、松島市の沿岸地域のあたりを指します。
各地域によって方言は多少異なっています。特に三陸方言と言われる沿岸地域のほうで話される方言は、かわいいというよりも強い方言が話されている傾向があります。
現在方言を使うのは年配の方が中心
東北各地や全国から集まる人が増えたこともあり、現在方言を使うのは年配の方が中心です。若い人は語尾が特徴的な話し方があるくらいで、関西弁のように誰もが話す方言というわけではありません。ズーズー弁は田舎くさいというイメージがあるため積極的に使わない傾向があるようです。
宮城出身の人が東京で話をしたからと言ってすぐに出身がわかるようなことは少ないです。それほどなまりが強くないのが宮城弁の特徴でもあります。
基本的にあまり仙台市内の人は方言を使用しません。ただし、後述するように特徴的な単語があります。宮城の人は方言だと気づかずに方言を話していることがあるようです。
宮城の方言「宮城弁」の特徴
主に年配の方に使用される宮城弁ですが、若い世代でも使うような宮城とは切っても離せない方言もあります。その中でも語尾が特徴的でかわいい宮城弁を、例文を交えながらご紹介します。
語尾に「べ」や「さ」を付ける
語尾に「べ」を付ける宮城弁も一般的です。例文としては、「今日飲みさ行ぐべ?」のように使います。語尾に「べ」を付けるのは男性であれば若い人から年配の人まで世代に関係なく使用する人が多いです。東京や神奈川の方言の「~べ」と意味は同じなので使用頻度も高いようです。
語尾に「さ」を付けることも多いです。例文としては、「あっちさ行ぐ」は「あっちに行く」や「車さ置いでおげ」は「車に置いておいて」、「んださ」は「そうだよね」のように使います。「てにおは」のような助詞です。
語尾に付ける「べ」や「さ」は東北地方では一般的な方言です。「~だべ」や「~ださ」の言葉自体に深い意味はないので、この方言を聞いたとしても「そういう話し方なんだな」と思えば十分です。
発音に濁音が多く語尾に向かって抑揚がある
基本的に口をあまり開けずに話をするので濁点がついた言葉になる特徴があります。例文としては、「何食べだの?」「どさいぐの?(どこに行くの?)」のように語尾に向かって濁音が増えることが多いです。また、これに伴ってか語尾が強く話される傾向があります。
本来濁点が付かない文字にも濁点がつくように聞こえることがあります。東北人にしか発音できない音があります。
「ズーズー弁」
東北の方言は「ズーズー弁」と言われます。「じ」を「ず」、「じゅう」を「ずう」と発音するためズーズー弁と言われるそうです。寒い地域であること、稲作など農業を生業とする人が多いことからか口をあまり開けずに話をする傾向があります。このため発音が「ず」や「ずう」になるようです。
また宮城の方言は「い」と「え」、「き」と「ち」など区別がつかない音があります。「寿司」が「すす」となったり、「えき」が「えち」と聞こえてしまう年配の方は多いです。文脈から判断したり、はっきり確認することが大事です。
「えち」「すす」はおばあちゃんが話す宮城弁によく聞かれます。かわいい宮城弁の代表とも言えます。
宮城の方言「宮城弁」のかわいい語尾
よく使用される宮城弁のかわいい語尾について、その特徴を例文を交えながらご紹介します。使う人や地域によって意味が異なることがありますので、厳格に考えるのではなく、そういう意味が一般的なんだとご理解ください。
「~っちゃ」
「~っちゃ」は「明日は仕事さ行ぐっちゃ?」や「この間、本貸したっちゃ」のように使われます。意味としては特にあるわけではなく、「~だよね」くらいの意味です。この方言は老若男女関係なく使われることが多い、「だっちゃ」と同様、代表的なかわいい宮城弁です。
「~だっちゃ」
「~だっちゃ」は「心配だっちゃ」や「んだっちゃ」のように使います。「~っちゃ」と同じようなものでそれ自体に深い意味はありません。「~だよ」くらいの意味です。
宮城には「未知ノ国守(ミチノクニノカミ)ダッチャー」というヒーロー戦隊がいるくらい「だっちゃ」という言葉は浸透しています。「だっちゃ」だけで相槌を打つこともよくあります。「そうだよ」と同意している時に使います。宮城弁でもありますが、東北弁ともいえる代表的な方言です。
「~ださ」
「~ださ」は「んださ(相槌)」と同意するとき、又は「んださ?」と相手に同意を求める時に使います。「んだ」も同じような意味です。「うんだ」が「んだ」と変化したと考えられています。「だっちゃ」と同じような使い方です。
「~でがす」
「~でがす」の例文は「んでがす(相槌)」や「おばんでがす(こんばんは)」、「お疲れ様でがす」や「ご無沙汰でがす」のように使います。「~です」の宮城弁です。年配の方に多い方言で若い世代にはあまり使いません。特徴的な響きなので使っているとすぐ宮城弁と気づきます。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」でも使われていたように岩手県でも使われているので、東北地方では一般的な方言です。反対語は「~んでがいん」があります。「そうではありません」の意味です。
「~でがすぺ」
「~でがすぺ」の例文は「これでいいんでがすぺ?」や「これでいいんでしょうか?」、「いいんですよね?」のように使います。「~でしょうか?」というところです。
「~だすぺ」も同義です。「んだすぺ」や「んでがすと」は「そうだよね」という意味で使うこともあります。「~だべ」と同じような意味で使われます。「でがすぺ」は年配の方に多い方言です。「そうすっぺ(そうしよう)」のように「~っぺ」で終わるのも宮城弁やズーズー弁の特徴です。
「~のっしゃ」
「~のっしゃ」の例文は「んだのっしゃ」は「そうなんだよ」の意味や、「いいのっしゃ」は「いいんですよ」という意味で使います。「なじょしたのっしゃ」は「どうしたの?」という意味です。「なじょ」は「なに」です。
これ自体にきちんとした意味があるわけではありません。「~です」くらいの意味です。年配の方に多い方言です。
「~よわ」
「~よわ」の例文は「もう行くんだよわ(もう行くんだよ)」や「勉強しないと学校さ行けなんだよわ」というように使います。深い意味はなく、「わ」が付くだけという感覚です。こちらは比較的使う人が多い方言ですが、東北の中でも仙台でのみ一般的なようです。
「~よわ」は強く言いたいとき、強調したいときに使う方言です。親が子供に注意するときに使うようなイメージです。
宮城の方言「宮城弁」のユニークな単語
宮城弁の中でも語尾につける特徴的な方言をご紹介しました。かわいいと感じられる方言はありましたでしょうか。
語尾の場合は特別な意味が存在しないものが数多く存在しますが、方言の単語は意味を持ちます。中には宮城弁を話さない人には意味が通じない、ユニークな単語も存在します。
使っている人は自然と使うので気づきませんが、知らない人にとっては全く意味がわからないので意味を知っていないと会話が成立しないことがあります。宮城の人と関わる予定がある方はぜひ覚えてみてください。
いづい
感覚的にしっくりこない、不快感や違和感があることです。例えばシャツの袖が上着を着たことで引っ張られて中に入ってしまったときや、スニーカー用の丈の短い靴下がスニーカーの中で脱げてぐしゃぐしゃになってしまったとき、宮城の人は「袖がいづい」「靴下いづい」と言います。
「いづい」は小さい子供でも使うことがあるような一般的な宮城弁です。例文としては「うんといづい」は「とても違和感がある」のように使います。「いづい」が方言だと知らない宮城の人はたくさんいます。
「いづい」なのか「いずい」なのかはあまり気にする必要はありません。話し言葉なのでどちらでも音は同じです。
ごしっぱらける
「腹が立つ」という意味です。ごしっぱらけるは宮城でも知っている人と知っていない人が分かれる単語です。年配の方に多い方言と言えます。
ごしらっぱけるは「腹が立つ」という意味ですが、似た方言に「ごしゃぐ」があります。東北地方、特に秋田県で使われることが多い方言です。「後世を焼く」が転じたものと言われています。例文「それ以上騒ぐど、ごしゃぐど!」のように、「怒る」という意味があります。
がおる
「疲れる・くたびれる」「元気がなくなる」「弱る」「(気持ち的に)まいってしまう」などの意味です。これも一般的な方言です。東北地方や北海道の一部で使われることが多い方言です。
宮城でもほかの地域でも病気で衰えるという意味もあります。やはり年配の方に多い方言ですが、意味を知っている宮城の人は多い方言です。
おしょすい
「恥ずかしい」という意味をもつ言葉です。例文として「おしょすいごとすな!」は「恥ずかしいことをするな」のように使います。年配の方に多い方言ですが、特に三陸地方で使われることが多いと言われています。
使う人は多くありませんが、独特な単語なだけあって、意味を知っている宮城の人は多いです。「うんとおしょすい」は「すごい恥ずかしい」というふうにも使います。
「恥ずかしい」という意味をもつ言葉
「おしょすい」の語源は平家物語まで遡ります。かつては「勝事(しょうじ)」を「すばらしい」の意味で使いました。中世から近世にかけて「大変だ、困った」の意味で使われるようになり、転じて「恥ずかしい」の意味になったと言われています。
「おしょすい」は東北地方の中でも方言が異なります。青森県では「めぐせ」、秋田県・山形県では「しょし」、岩手県では「おしょすい、しょすい、しょしい」などと言います。全国各地、様々な言い方があるので調べてみるのも面白いです。
あっぺとっぺ
「うろおぼえ」「ごちゃ混ぜになった」「適当な」「いいかげん」の意味です。意味が分からない、頓珍漢だという意味でも使います。例文「なに言ってんだがあっぺとっぺだっちゃ」は「なにをいってるのか意味が分かりません」というふうに使います。響きがかわいい方言です。
似た方言に北海道で使われる「あっぺ」「あっぺこっぺ」があります。同じような意味ですが、反対やさかさまであることを言います。
ちょす
「いたずらして触る」「いじる」際に使う言葉です。例文として「台所のものはあぶねぇがらちょすな」は「台所のものは危ないから触らないで」のように使います。小さい子が親に「ちょすなでば」は「触っちゃダメだってば」と言われることも多いです。
「ちょす」は年配の人に多い方言です。響きが似た方言に福岡、九州地方で使われる「ちょる」がありますが、意味が全く異なります。福岡の「ちょる」は語尾に付ける方言ですが、宮城弁の「ちょす」は単語です。
ジャス
「ジャージ」「運動着」のことです。学校の先生が体操着に着替えてという意味で「ジャスに着替えて」というくらい宮城弁では一般的な方言です。体操服のことやパジャマのズボンのようなものをジャスと言います。方言だと知らない人が多いくらい一般的です。
ただし現在の10~20代の若い世代の人は知らない人が多いようです。しかし今から30年以上前の時代には学校からのプリントに「ジャスを持ってきてください」と書かれるくらい一般的に使われていました。なぜ宮城県でだけ使われるようになったかは不明なようです。
おはようくつした
靴下に穴が開いて指が出たときに使います。主に親指です。しゃれて「おはようソックス」などと言うこともあります。これは他の地域では言わず、宮城限定のようです。宮城の人はこれが方言だと知らないほど一般的です。
なぜ宮城限定で「おはよう靴下」と言うのかはわかりません。ただ、子供はよく指先だけ靴下に穴が開きますが、その状態を見るとたいてい「おはよう靴下になってる」と言います。親指すべてが見えている状態ではなく、少しだけ出ている状態が正しい「おはよう靴下」です。
こちらも若い世代には徐々に使われなくなってきています。現在の30代以上にはかなり認知度の高い方言だといえます。
宮城の方言「宮城弁」の例文
特徴的な宮城弁の方言の単語についてご紹介してきました。ここまで途中で例文もいくつかご紹介しましたが、実例集として使える宮城弁の例文をさらにご紹介します。複数の方言が組み合わされているので宮城弁の知識を深めることができます。
「おめぇの事好きだから付き合ってけろ」
あなたのこと好きなので付き合ってください、という意味です。「おめえ」は「あなた」、「~けろ」は「~してください」です。
「おめぇ」は乱暴に聞こえますが、東北の人はあまり乱暴なつもりで使っていません。「おめぇ」は普通に「あなた」です。「~けろ」は「~してください」という意味で、お願いするときに使います。
「話があっぺとっぺだっちゃ!」
話がいい加減だよ!という意味です。意味不明でとんちんかんなことを言っている時や話の辻褄が合わない時にも使います。「あっぺとっぺ」を使用するときは大抵「~だっちゃ」を一緒に使います。
「あっぺとっぺだっちゃ」はもはや慣用句であるといえます。「あっぺとっぺ」は「あぺとぺ」と使われることもあります。語源は「あべこべ」です。
「今日はがおったなー」
今日は疲れたなーという意味です。「いきなりがおった」は「とても疲れた」のようにも使います。
「がおる」は「落ち込む」というような意味で使われることもあります。仕事などで失敗したときに「がおる」というと落ち込む、へこむという意味にもなります。
宮城の方言はほっこりしたものが多い
宮城弁を始めとしたズーズー弁は優しく聞こえることが多いです。このためほっこりしたものに聞こえます。しかし単語や言い方など、宮城の人にしかわからないことも多くあります。かわいい語尾が特徴の宮城弁をマスターして、宮城の人と仲良くしてみてください。