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新潟には面白くてかわいい4種類の方言がある
新潟県は、本州の日本海側にあり細長い形をしています。中部地方に属していますが、国土交通省では「北陸地方整備局管内」に属し、国土形成計画では「東北圏」に含まれている不思議な所です。
新潟県にはスキー場やたくさんの温泉があり、ベニズワイガニやあんこうなどの海の幸や地元の美味しい米と水で作られる地酒を楽しむ事ができます。他にも水族館のマリンピア日本海、せんべいのテーマパーク「新潟せんべい王国」などもあります。
また、まつだい芝峠温泉の雲海や日本滝百選にも選ばれている苗名滝、国上山の中腹にある千眼堂つり橋、星峠の棚田、日本三大峡谷のひとつである清津峡、佐渡弥彦根山特定公園に属す角田山・灯台登山口などのすばらしい絶景も楽しめます。
新潟県全域で話す言葉を総じて新潟弁と呼びますが、新潟県阿賀野川より南は越後方言、佐渡島では京言葉の影響を強く受けた佐渡弁の2種類が話されています。また、新潟の方言を大まかに分けると長岡弁、高岡弁、佐渡弁の3つの種類になります。
細かく分類すると、細長い新潟県は上越・中越・下越・佐渡と4つの地方に分かれているので、4種類の特徴ある方言が話されているようです。
4つの地方ごとに方言が異なる
新潟県は南西部が上越地方、中央部が中越地方、北東部が下越地方、佐渡島が佐渡地方の4つの地域に分けられています。上越・中越・下越・佐渡の4つの地方で話される4種類の方言のイントネーションや語尾の特徴はそれぞれに違うと言われています。
また、4つのそれぞれの地方でも地域によって方言に微妙な違いがあります。ただし、新潟県外の人が聞くと方言の違いや種類には気づきにくいようです。
上越地方・中越地方・下越地方・佐渡地方
上越地方は日本海と妙高山、米山、飛騨山脈に囲まれた地域です。上越市、糸魚川市、妙高市の3つの広域生活圏が設定されています。上杉謙信が住んでいた城で、日本三大夜桜のひとつである高田城、9つのスキー場がある妙高高原などの観光地があります。
中越地方は大河津分水、三国山脈、越後山脈、米山に囲まれた信濃川沿岸の地域です。長岡市では、越後三大花火のひとつとして有名な「長岡まつり大花火大会」が開催されます。また、魚の市場通りや金運の神様として知られている高龍神社があります。
下越地方は日本海、越後山脈、鼠ヶ関に挟まれた地域で、県庁所在地の新潟市があります。新潟市には、佐渡島や五頭連峰を見渡せる県内随一の朱鷺メッセBefcoばかうけ展望室があります。
佐渡地方は、新潟県西部に位置する佐渡島全般を指します。佐渡弥彦米山国定公園に含まれています。佐渡島にはイカの遊泳が見られる尖閣湾揚島遊園や佐渡金山遺跡、トキの森公園などの観光地があります。
新潟の方言の特徴は
新潟の方言の1つめの特徴は言葉の頭にアクセントを置くことです。2つめの特徴は「イ」と「エ」の区別がないことです。「イ」と「エ」の音が似て聞こえるため、特に高齢の方々は混同してしまうようです。
3つめの特徴は「~さ」「~ろ」「~ねが」などで文章を〆る事です。「~さ」は「~だよ」「~です」、「~ろ」は「~だろう」「~でしょう」、「~ねや」は「~だよね」の意味になります。新潟の方言は、この3つの特徴によって独特な訛りに聞こえるのでしょう。
他にも新潟の方言には面白い特徴があります。新潟の方言ではカ行子音、タ行子音が濁音化したりします。例えば「ドコ」が「ドゴ」となります。また、一部の助詞ではダ行子音がラ行子音に変化したりします。例えば「嘘だ」が「嘘ら」になります。
一方で、新潟の高齢の人は、「クヮ」「グヮ」と発音する合拗音(ごうようおん)を使います。例えば「火事(カジ)」は「クヮジ」になります。しかし「家事」は「カジ」と発音して「クヮ」と「カ」を区別しています。
新潟の方言は、静岡県西部、愛知県東部、九州北東部と同じく外輪式東京アクセントです。名詞に助詞が付いた時に平板型(ひらいたがた)で発音されることが多いので、外輪式東京アクセントに分類されています。一方で、新潟県北部には外輪式東京アクセントの変種が分布しています。
また、共通語では最初の音にアクセントを置く疑問詞を、新潟の方言では平板型で発音するものがあります。例えば「イツ?」「ドチラ?」などは、共通語だと「イ」「ド」にアクセントを置きますが新潟の方言では「ツ」「チラ」にアクセントを置きます。
ちなみに平板型アクセントとは、言葉の頭が低く、次の語から高く平坦になります。例えば「水(ミズ)」低高、「桜(サクラ)」低高高となるアクセントです。
アクセントが単語の一番前にくる
新潟の方言はアクセントが単語の最初にくるので、「靴(クツ)」は「ク」、「服(フク)」は「フ」、「背中(セナカ)」は「セ」、「苺(イチゴ)」は「イ」の音が高くなります。共通語のアクセントとは異なるものが多く見られます。
また、真ん中がアクセントになる3文字の単語もあります。例えば、「命(イノチ)」「薬(クスリ)」「眼鏡(メガネ)」「左(ヒダリ)」「浴衣(ユカタ)」などです。
「たまごやウサギ」は「サラダ」同じイントネーション
新潟の方言は最初の音にアクセントが来るため、「たまご」「うさぎ」が共通語の「サラダ」のアクセントと同じイントネーションで高低低となります。ちなみに共通語では「たまご」は低高低、「うさぎ」は低高高となります。
イ行とエ行の音が混合されている
「イ」と「エ」の区別がないのが新潟の方言の特徴だと言われますが、若い人には、「イ」と「エ」の混同はほとんどありません。標準語教育を受けた中年の人たちの中には「イ」と「エ」の区別はできるけれど、混同してしまう人がいるようです。
高齢者の人の発音では「イ」と「エ」の区別がなく、「イ」でもなく「エ」でもない中間音を発音するようです。例えば「息」と「駅」や「苺」と「越後」の発音が区別できないという事です。
「色鉛筆」が「えろいんぴつ」
「イロインピツ」「エロエンピツ」と言われて、「何の事だかわからない」のが高齢の人が話す新潟の方言の特徴です。実は、どちらも「色鉛筆(イロエンピツ)」の事を言っているのです。新潟の方言は「イ」と「エ」が混同して、まるで暗号のような言葉になってしまいます。
新潟の方言・定番フレーズやあいさつ
新潟の方言には、面白くかわいい方言がたくさんあると聞きますが、実際に新潟の方言を聞く事はあまりないかもしれません。新潟の方言では、どんなあいさつの言葉を使っているのでしょうか。かわいく面白い新潟の方言やあいさつについて紹介します。
「だから」
面白い新潟の方言1つめは「だから」です。共通語で使う接続詞の「だから」ではなく「だよね」などの同意の意味になります。ちなみに、共通語の「だから」は新潟の方言では「だすけ」と言います。
「だから」は、鹿児島や沖縄の方言でも同じように同意の意味で使われています。南と北で同じような言葉があるのが方言の面白いところです。東北の方言である「だから」は、もともとは「んだ、から」で、「ん」が聞き取れずに「だから」になったという説があります。
「ばか」
面白い新潟の方言2つめは「ばか」です。共通語の「馬鹿」とは違い「すごく」とか「とても」などの良い意味です。例えば「ばぁか、若げらよ」(とても若く見える)や「ばか、いいね」(すごくいいね)と使います。
民俗学研究家の小林存(こばやしながろう)氏の著書である「越後方言考」では、新潟の方言「ばか」について「副詞の『馬鹿に』の『に』が略されたもの」だと解説しています。
「しょうしい」
面白い新潟の方言3つめは「しょうしい」です。共通語では「恥ずかしい」の意味です。「しょうしい」の語源は、時代劇でお奉行様が悪党の言い訳に一喝する時に使う「笑止千万」の「笑止」です。
「笑止」の意味は、「非常にばかばかしいこと」や「おかしいこと」ですが、それとは別に「照れくさい」「恥ずかしい」という意味になりました。
例えば「しょうしげもなく」(恥ずかしげもなく)、「何かしょーしぃ」(何か恥ずかしい)と使います。ちなみに、秋田の方言で恥ずかしいを意味する「おしょし」は、新潟の方言だとへりくだったあいさつ言葉の「恐縮です」の意味になります。
「しょうしい」のように漢語が方言になった例は、東北の「ふぐす」(祝福する)、「ごっしゃく」(怒ること)などがあります。
「なじらね? なじら?」
面白い新潟の方言4つめは「なじらね?」「なじら?」です。共通語では「いかがですか?」「どんなですか?」の意味になります。新潟弁の一般的なあいさつ言葉である「なじらね?」「なじら?」は県外の人がびっくりするほどいろいろな種類の掛け声になります。
例えば、道で会って「なじらね?」と言われたら「元気?」などのあいさつ、お店などで「〇〇なじらね?」と声を掛けられたら「〇〇はいりませんか?」の意味になります。
他にも「明日一緒になじらね?」は「明日一緒に遊ぼう」、仕事中に「作業はなじらね?」と聞かれたら「作業は順調?」となります。「なじらね?」「なじら?」は、たった一言で相手の気持ちや体調を伺う時に使えるいろんな種類の意味を持った言葉です。
とても便利な新潟のあいさつ言葉「なじらね?」「なじら?」は、新潟県民のコミュニケーションツールなのでしょう。
新潟の方言・面白いフレーズ
新潟では人前で話をする時の第一声のあいさつに「ごめんください」「ごめんなせ」を使う地域があるようです。「こんにちは」のあいさつと同じ意味で使われます。地域によっては、人のお宅などを訪問する時のあいさつとしてしか使わない所もあります。
あいさつの言葉1つをとっても、地域によって使い方や意味に違いがある新潟の方言には面白いフレーズがたくさんあります。ここでは「はらくっちゃい」「かけられる」「おじ・おば」「ぼっこす」について紹介します。
「(はら)くっちゃい」
面白いフレーズ1つめ「はらくっちゃい」は、共通語で「お腹いっぱい」「満腹」の意味です。例えば、「はらくっちぇて動かんね」(お腹いっぱいで動けない)、「まんまいっぺー食べたのではらくっちぇなったって」(ご飯をたくさん食べて満腹になりました)と使います。
「はらくっちぇ」は「腹がくちい」が変化した言葉のようです。「くち・い」は方言ではなく辞書にも出ている単語で「苦しいほどお腹がいっぱい」「満腹である」という意味です。ちなみに「くっちゃい」だけだと「面倒くさい」という意味になります。
「かけられる」
面白いフレーズ2つめは「かけられる」です。共通語で使わるような「水をかけられる」や「言葉をかけられる」などとは違い「指名する」という意味です。例えば「先生にかけられた」(先生に指名された)と使います。
「かけられる」は、新潟の人が方言だと気づかずに使ってしまう言葉の1つだそうです。ちなみに同じ新潟でも佐渡地域では「指名される」を「当てられる」と言います。
「おじ・おば」
面白いフレーズ3つめは「おじ・おば」です。共通語では「弟・妹」の意味になります。「叔父・叔母」と間違うことはないのかと不思議ですが、「叔父・叔母」には「さん」を付けるので区別ができるようです。
ちなみに「おじ」は家を継ぐ可能性によって言い方が違ってきます。次男坊は「もしかおじ」、三男坊は「おじごんぼう」と呼びます。しかし、弟や妹のことを「私のおじ(おば)です」紹介されたら、県外の人はびっくりしてしまうでしょう。
「ぼっこす」
面白いフレーズ4つめは「ぼっこす」です。「ぼっこわす」とも言い、共通語では「壊す」の意味です。例えば「おもちゃをぼっこすな」(おもちゃを壊すな)と使います。
「ぼっこす」は「ぶっこわす」が訛ったものだと解釈されています。また、茨木県、栃木県、群馬県などの北関東でも、同じ意味で「ぼっこす」が使われています。
新潟の方言・告白フレーズ
日本にはたくさんの種類の方言があり、地域によって特徴も違います。新潟県は1つの県の中で4種類の方言が話されています。「~ろ」「~さ」「~ちゃ」などのやわらかな印象の語尾を持つ新潟の方言のことを「かわいい方言だ」と言う人も多いです。
新潟の方言にはいろんな種類のかわいいフレーズがありますが、ここでは告白する時のかわいいフレーズ「うんなばっかめーごいね」「いっち好きらて」「ほかんしょなん興味ね」「俺んがんになれや」を紹介します。
「うんな ばっかめーごいね」
かわいい告白フレーズ1つめは「うんなばっかめーごいね」です。共通語で「お前、すごくかわいいね」の意味になります。「うんな」は、とても近しい相手に対する呼びかけで「お前」の意味です。「ばっか」は「すごく」、「めごい」は「愛おしい」「かわいい」です
「うんなばっかめーごいね」と見つめられたら、ドギマギしてしまうでしょう。ちなみに、「うんな」(お前)が複数になると「ねら」(お前たち)となり、目上の人に呼び掛けるときは「うん様」となります。
「いっち好きらて」
かわいい告白フレーズ2つめは「いっち好きらて」です。共通語で「一番好き」という意味になります。「いっち」は「一番」「何よりも」という意味です。「~らて」は新潟県下越地方で良く使われている語尾で「~だよ」です。
穏やかな柔らかな雰囲気の「いっち好きらて」ですが、「大好きだよ」とダイレクトに伝える情熱的な告白の言葉です。
「ほかんしょなん興味ね 」
かわいい告白フレーズ3つめは「ほかんしょなんて興味ね」です。共通語で「他の人なんて興味ない」という意味になります。「ほかん」は「他の」、「~んしょ」は特定の人や集団を意味します。「あそこの人」は「あそこんしょ」、男の人達は「おとこんしょ」となります。
「ほかんしょなんて興味ね」の後に「おめーじぇねーばダメんがだて」(お前じゃなきゃダメなんだ)と大好きな人に言われたら、胸がキュンとしてしまうでしょう。
「俺んがんになれや」
かわいい告白フレーズ4つめは「俺んがんになれや」です。共通語で「俺のものになれよ」の意味になります。「俺んがん」は「おらんがん」と読み、「自分のもの」の意味です。新潟弁のやさしい言葉のニュアンスとは正反対の男気溢れる告白フレーズなです。
新潟に行ったら方言を使ってみよう!
独特な訛りがある新潟の方言は、1つの言葉でさまざまな意味があったり、語尾に特徴があったりする難しい言葉ですが、とても柔らかい印象のかわいい方言です。
新潟で食事をしている時に「なじらね?」と聞かれたら「美味しいです」と答えてみましょう。かわいい新潟弁を覚えて、新潟県民とコミュニケーションをとってみませんか?