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静岡ってどんなところ?
静岡は、まず富士山が目の前に広がるという素晴らしい観光スポットです。ほぼどこからでも富士山を眺めることができます。また富士山周辺にはぜひ出かけてみたい観光地や美術館などがぎっしり詰まっています。
富士山山麓には「富士山本宮浅間大社、白糸の滝、音止めの滝」など歴史ある立派な神社や美しい滝があることでも有名です。また静岡南方の伊豆半島は温泉街として全国から人が集まります。静岡の東上は山梨県、すぐ右は神奈川県、西には愛知県が接しています。
静岡は豊かな自然に囲まれているため、特産品が多いことも有名な特徴です。まず一番の名物はお茶です。静岡といえばお茶というほどでしょう。メロンも全国一を誇る高品質の美味しさで、またみかんの特産地としても静岡は知られています。
静岡には方言はない?
静岡は神奈川に接しているため、「静岡弁」という方言はないだろうと思う人は多いものです。しかし、静岡弁は「東海東山地方方言」の一部です。「東海東山地方方言」は長野、山梨、静岡の方言ということで、それぞれの県名の最初を取り「ナヤシ」方言と呼ばれます。
山梨と隣接している静岡は、日本の中央に位置します。長野や山梨といえば方言があるだろうという感覚は、日本人には共通しています。そこで、長野、山梨とどことなく共通した方言が静岡弁として存在するのです。
つまり、方言体系で考えると、静岡県は神奈川から東京といったルートからはまったく外れているのです。静岡県の方言は、富士山を仰ぐ山梨、長野方面の方言体系です。東北弁とは異なりますが、日本中部独特の方言が静岡弁です。
日常会話は標準語に近い!
静岡での日常会話では、標準語がかなり大きな幅を占めています。しかし、大阪では若者でも普通に大阪弁を多用するように、静岡の若者でも静岡弁をよく使います。一番知られているのは、推量表現の語尾につく「ら・だら」で、「何してるだら?」(何してるの?)というように使われます。
若者の会話として、「私は明日の試験の用意なの。あら、あんた何してるだら?」というように、標準語と方言が入り混じります。大阪弁のように「うちは明日の試験の用意やねん。あれ、あんた何しとるん?」と標準語と混合しない方言がある中、静岡弁は標準語に近いと言われます。
また、「~だら」は疑問だけでなく「~なんだよ」と断定する際にも使われる方言です。会話にとても頻繁に登場する方言で、「私はピアニストだけど、彼氏はヴァイオリン専攻だら」と使います。
「だら」という語尾は静岡の方言では、かなりポピュラーです。「~なの」「~だよ」と同じ頻度で、静岡でよく聞かれる方言です。
静岡の方言・静岡弁①語尾の特徴編
方言の多くは関西弁のように「うちな~」(私はね)と頭から方言となる場合があり、西日本では四国や九州でも似た傾向にあります。しかし静岡では語尾に静岡弁の特徴が出ます。静岡弁の語尾は「だ」を中心とした柔らかい印象を与えてくれます。
「~だで」
静岡弁の語尾に「~だで」というのがあります。関西弁の「ホンマやで」と似ていますが、静岡の方言で「~だで」と言うと、話の途中に使われるのが特徴です。「明日は旅行だで早起きせないかんに」というように「~だから」といった意味で使われます。
静岡の方言で「~だで」という語尾は、「静岡から新幹線乗れば、東京は近いだでいいよ」や「今週は有休取ったのでどっかドライブ行こ」とのように表現します。東京弁の「だからさ」よりも、静岡方言の「だで」は温かくかわいい言葉です。
「~しなければ」を「せな」と言うのは西日本では広く共通しています。それが面白いことに、富士山の見える静岡でも使われているのです。特に静岡弁では「せにゃあ」と言い、面白くかわいい方言と人気があります。
「~ずら」
「ずら」という方言は静岡と山梨・名古屋・長野で使われています。語尾につけて、下げる調子で「このスマホは新しいずら」というように使います。「新しいんでしょう?」と問いかける場合や、「新しいよ」と状態を伝える場合に使います。
日本は明治維新時の廃藩置県まで、独自の藩が地方を統治していました。他の藩へ旅行するには、その藩独自の法的な許可である「通行手形」を必要としました。日本人同士の行き来が現代のように頻繁でなかったため、その地方独自の言葉が方言として、現在も色濃く残っているのです。
「ずら」の語源は古語にあります。推量の助動詞「うず」と「らむ」が合体して「うずらむ」になり、それが「ずらう」に変化して現代に至ります。山梨県では年齢に関係なく「ずら」が使われていますが、静岡県では「ずら」は主に年配の方が使います。
推量や同意を確かめる語尾の「ずら」を、静岡の若者ははっきり「ずら」と言いません。現在では語尾が変化して「だら」「~ら」となっています。「だら」「~ら」などの語尾は、「あんたも行くんだら?」や「今夜は寒いら」というように使います。
「~ら」は「たくさん歩いて疲れたらー」と伸ばすこともあります。語尾が「ずら」「だら」「~ら」という静岡弁の特徴は、「~だ」という標準語の断定的な特徴を和らげてくれます。「~ら」で終わる語尾の特徴を持つ静岡弁や甲州弁はとても温かく、親近感が湧く言葉です。
また、名詞には「~ら」がつくのも静岡の若者方言の特徴です。「今夜は寒いら」「これ、新しく買った服ら」という表現は、静岡の女の子が使うとかわいい方言です。「あれは新しいネイルサロンらー」と方言を女の子が使うとキュートです。
また「~さ」も静岡弁の語尾として頻繁に使われます。「~さ」は「今日は休みさー」「明日は仕事さ?」というように、現状説明や問いかけの場合に、やや語尾を伸ばして使います。この「~さ」も静岡弁の特徴で、さっぱりとした気取らない雰囲気があります。
「~さ」という静岡の方言は、東京弁の「これさー何て読むの?」とは異なります。やはり東京弁の「~だよ」と同様によく使う方言です。「今の演技は良かったさー」という方言の表現には、素直であっさりした印象があります。
静岡の方言・静岡弁②面白いフレーズ編
静岡弁は東海道線の並びで見ると神奈川県の隣であるため、方言がないと思われがちです。そこで、当の静岡人が「静岡は東京の近くにあるだもんで、方言はないよ」と言います。ところが「~だもんで」そのものが「~だから」という意味の静岡弁なのです。
「~だもんで」という方言は、静岡県の人々が方言と思わず、頻繁に使います。「俺は受験生だもんで忙しいよ」「私は子供がまだ小さいだもんで遠出は無理」という風に言います。静岡の人がそれでも「方言はない」と思う点がユニークです。
静岡弁には語尾以外に、「そんな言い方するの?」という面白い方言がたくさんあります。静岡弁をある程度知っておくと、進学や入社の際、友人になる人が静岡弁を使ったらすぐ相手の出身地が分かります。相手も方言を知ってくれていることを喜び、親密度がすぐ深まるでしょう。
「行ってご」「見てご」
面白い静岡弁として、「~ご」という方言があります。意味は「~してごらん」「~してみて」と勧める場合に使い、「行ってご」(行ってみたら?)や「見てご」(見てみたら?)「試しに食べてご?」(試しに食べてみて?)というように言います。
職場などで、上司が「このパソコン使ってご」や「土産開けてご」と方言を使うと、上司の人柄が温かく感じられるでしょう。静岡出身の人が上司の場合、部下は静岡の方言にホッとして、「優しい人だな」との印象を受けます。
語尾の特徴が「だら」や「ご」のように、静岡弁の語尾は少し曇ったような音が多いのです。そんな静岡方言の語尾は、面白い印象やかわいい雰囲気を醸し出します。標準語とは違ったさり気なさや優しさが特徴の方言です。
「かじる」
普通は「かじる」というと、「りんごをかじる」(歯を立てて食べる)というように使われます。しかし静岡弁の「かじる」は「痒いところを掻く」という意味の方言です。「蚊に刺されたのに、かじるとだめだよ!」という風に使います。
他に「しょんない」という静岡弁も面白い方言です。雰囲気で分かるように「仕方がない」が柔らかく訛ったもので、「ミーティング全員集合は無理。みんな忙しいからしょんないね」という風に使います。諦めよりも、その場を「またやろう」と前向きな感じで表現する、かわいい方言です。
また面白い静岡弁に「ぶしょったい」があります。「ぶ」がつくので否定的な雰囲気が伝わりますが、「だらしがない」という意味です。「そんな恰好はぶしょったいだら」と使います。「無精ひげ」という言葉があるように、「無精」が訛った面白い方言です。
面白い静岡弁には、他には「やらにゃん」があります。「掃除は明日にはやらにゃんさー」と使います。「やらなきゃいけない」という意味ですが、静岡弁は「しょんない」「ぶしょったい」や「やらにゃん」のように、「~しょ」「にゃん」という音が入り、かわいく面白く伝わります。
「ちょびちょびする」という静岡弁も、水が少しずつ滴っているような、不思議で意味不明な面白い方言です。実際は水に関係なく、「ちょっかいを出す」という方言です。「そこ、ちょびちょびするんじゃない!」というように使われます。聞いた印象と全く違う意味なので、面白い言葉です。
静岡の方言・静岡弁③かわいい表現編
静岡弁には、標準語と異なり「かわいい」と感じさせる特徴がいろいろ見られます。意味が分かりづらい方言であっても、言葉の響きのためにかわいい印象が残るのです。初めて聞いてみて、方言の意味を理解すると、本当に意外に思い、かわいいなと感じる人が多いでしょう。
「うちっち」
「うちっち」という静岡弁は、説明がなくても理解できる方言です。「うちっち」は「私の家」という意味です。「うちっちは遠い所だら」と使いますが、単に「うち」ではなく「っち」がつくことで、かわいい印象が強まります。
「とんじゃかない」
静岡弁で「とんじゃかない」と初めて言われると、さっぱり意味不明です。「とんじゃかない」とは、物事にこだわらないという表現「頓着しない」の「頓着」が「とんじゃか」と訛ってできた方言です。「男の子は服が汚れてもとんじゃかないね」のように「気にしない」という意味で使います。
はっきりと「頓着しないよ」というよりも、「とんじゃかない」という静岡弁は、舌足らずでかわいい言葉です。「ジュース買い忘れたよ」「ああ、とんじゃかないさー」と言われると、本当にかわいい言い方です。「とんじゃかない」と言う人の人柄も、あっさりとして好感が持てます。
「ちんぷりかえる」
「ちんぷりかえる」と静岡の友人が言っても、「何を言っているの?」となる場合が多いでしょう。一瞬日本語とは違う言葉に感じます。「お父さんと喧嘩してちんぷりかえった!」と使い、「もうむくれかえった!」「腹が立った!」という意味です。
気に障る、腹が立つことを「カチンとくる」「プリプリする」という表現があることから、「カチン」に「プリ」を合わせたのが静岡弁の「ちんぷりかえる」ではないかと思われています。語尾が変わって、「ちんぷりきゃーる」となると、もう腹が立って仕方がない状態を表します。
「ちんぷりかえる」は、意味とは正反対にとてもかわいいと感じられる方言の一つです。チンチン電車が愛されるのは、「チンチン」という音の響きがかわいいためです。また「ぷり」は英語の「プリティ」に通じるため、「ちんぷりかえる」はとてもかわいい静岡弁なのです。
かわいい静岡弁には「おみゃあら」というのもあります。これは複数の相手に向けて使う言葉で、「あんたたち」という意味です。「おみゃあら、ここが肝心だで」というように使います。方言の中に「みゃあ」が入っているため、子猫の鳴き声のようにキュートな静岡弁です。
静岡の方言・静岡弁④はじめて聞くとびっくり編
方言の中には、自分が「こうだ」と思っている概念やニュアンスと異なる言葉が多いものです。言葉を聞いてとらえどころがなくなり、本当の意味にびっくりする表現がいろいろあるわけです。しかしびっくりする言葉が多いほど、地方によって異なる方言の豊かさを表しているのです。
「とぶ」
静岡弁に「とぶ」という言葉があります。大抵の人は、「飛ぶ」と勘違いしますが、実際は「走る」という意味です。「今日長距離走で2キロとんだ」「そんなにとぶとあぶにゃーぞ」と使います。
「みるい」
「みるい」という静岡弁は「ミルク」に関係ありません。ただニュアンスがゆったりしているので、何となく想像はつきそうです。正解は「(食べ物が)柔らかい」です。「この餅はみるいね」「この柿はみるいさー」のように使います。
「けっこい」という静岡弁を聞いたらどう感じるでしょう。「けっこい」も意味不明で不思議な言葉ですが、相手の容姿を褒めているのです。「あなた、けっこいねえ」と使います。知らないとポカンとしてしまいますが、「あなたきれいねえ」と言われているので、喜びましょう。
「おそんがい」という静岡弁も何を言っているのかさっぱりです。しかし話している時の状況や相手の言い方で判断できる方言で、正解は「怖ろしい」です。他にも恐怖心を表す言葉は「ぞんぐりする」(ぞっとする)があり、「心霊写真はおそんがい・ぞんぐりするにゃあ」と使います。
「びっちょこ」との静岡弁は、先にご紹介した「ちょびちょびする」(ちょっかいを出す)のように水を連想させ、びしょ濡れなのかと勘違いしてしまいます。しかし実際はまったく異なり「左右非対称である」という意味で、「あんたヘアスタイルびっちょこだら」と使います。
また「ごーがわく」との静岡弁も、やはり意味不明な言葉です。実際は「腹が立つ」という意味で、「電車が遅れてごーがわくにゃあ」と使います。漢字にすると「業」となり、「業を煮やす」も「腹が立って苛つく」ですので、それが方言となり「ごーがわく」になったのです。
静岡の方言を知って観光に行くのも面白い!
静岡にまったく行ったことのない人であれば、まず静岡弁をある程度調べておくと面白い旅になります。静岡の街中で、「~ずら」や「とんじゃかない」が使われているかな?と耳をそばだててみましょう。現地の人が本当に静岡弁を話しているのを聞くと、静岡観光の楽しさも倍になります。