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プロみたいに松茸をおいしくする焼き方とは?
秋が旬の松茸は、味・食感・香りが楽しめる高級食材です。産地によって収穫の時期は違いますが、主に9月~11月に旬を迎えます。松茸が高級食材と呼ばれるのは数が少ないだけでなく、松茸をとるのが難しいことも関係します。
松茸もキノコの1種ですが、一般的なキノコは傘が開いた方がおいしいのに対して、松茸は傘が開かない方がおいしいです。傘が完全に開いた松茸は味・香りが薄れているので、地表からわずかに頭を出した松茸を見つけて根元から掘り上げます。
さらに食用キノコのように人工栽培することができないので、毎年収穫できる量が変わるのも高級食材といわれる所以でしょう。このように貴重な松茸も、収穫時期のピークになると手頃な価格で購入できるようになります。
そんな松茸は素材そのものがおいしい食材ですから、シンプルに焼くだけでもおいしいです。松茸は香りを楽しむ食材といわれているのでいろいろな調理法がありますが、自宅で食べるなら焼いて食べるのが簡単かつおいしい食べ方といえるでしょう。
なにしろ松茸は加熱することで旨味が増す食材ですから、焼くだけでも松茸のおいしさを引き出せます。ただし焼き方次第では旨味がきちんと出し切れないばかりか、松茸のおいしさを損なってしまうこともあります。
そこで旬の松茸を自宅でおいしく調理するなら、松茸の旨味を引き出す正しい焼き方を知っておくことがポイントです。
焼く前に丁寧に下処理を
松茸は傘が開く前に収穫するので、大半が土の中に埋まっています。ですから基本の焼き方の第1段階である「下処理」が重要です。とにかく松茸は鮮度が命で、鮮度が落ちるとマツタケオール(松茸特有の香り)が失われてしまいます。
ですからできるだけ早く食べるのが簡単においしく調理するポイントですが、下処理をせずに調理するのはNGです。松茸の下処理では表面についた土や汚れを落としますが、水洗いはできません。
そこで使うのが「キッチンペーパー」です。蒸らしたキッチンペーパーで優しく表面をこするだけで、松茸の表面についた土や汚れはとれます。
ただし表面を傷つけてしまうと、その部分からマツタケオールが抜けてしまいます。ですからあまり力を入れずに軽くこすって下処理することが、おいしい焼き方の第一歩です。
なお下処理の段階で、根元の部分は包丁で取り除きます。この時に根元だけを輪切りで切り落とすのではなく、鉛筆削りのようにそぎ切りにするのがポイントです。
できるだけ指で裂く
旨味を引き出す焼き方の基本には、「切り方」にもポイントがあります。香り成分・マツタケオールは、松茸の繊維に含まれています。下処理の段階でも十分に香りを感じられるのですが、切るとより強く感じるようになるのはそのためです。
そんなマツタケオールを存分に引き出すには、包丁ではなく手で裂くのがポイントになります。ただし傘が開いていない松茸をすべて手で裂くのは大変です。
そこで傘に包丁で軽く切り込みを入れてから手で裂きます。この方法なら力を入れなくても簡単に切れますし、繊維に含まれるマツタケオールも十分に引き出せます。
なお食べながら裂くという方法もおいしい食べ方の1つです。包丁で傘に切り込みを入れるだけの焼き方にすれば、専門店で食べる「松茸姿焼き」になります。
松茸のおいしい焼き方【フライパン】
簡単にできる松茸の焼き方は「フライパンを使う焼き方」です。フライパンはどの家庭にもありますからわざわざ松茸のためだけに買わなくてもよいですし、初心者でも失敗しにくい焼き方なので、簡単に旨味を引き出せるおすすめの焼き方といえます。
まず食べやすい大きさにした松茸に粗塩を振ります。粗塩を振って約1分待つと松茸の表面に水分が出てくるので、水分が出てきたら焼き始めましょう。なおフライパンを使った焼き方には、おいしく仕上げるポイントがあります。
フライパンでの焼き方の場合、直接フライパンに松茸をのせると、フライパンのにおいが松茸に移ります。松茸の香り成分・マツタケオールもかなりにおいが強いのですが、繊細な松茸はほんの少しのにおいも吸収するのが特徴です。
そのため調理器具に直接触れさせないのが、松茸の焼き方の基本となります。フライパンを使う焼き方の場合は、クッキングシートまたはアルミホイルを敷いてから松茸をのせてください。焼き時間はフライパンの素材によって調整しますが、概ね5分~10分が目安です。
なお焼き過ぎると香りが抜けますし、水分も蒸発してパサパサになります。ですから火力も中火~弱火で、状態を見ながら焼き時間を調整するのがおいしい焼き方のポイントです。
テフロン加工されていないものがおすすめ
フライパンには素材の違いや特殊加工の有無で名称が違います。値段が安く家庭用フライパンとして人気の「テフロン加工フライパン」は、「フッ素加工フライパン」と同じです。
アメリカ・デュポン社が「テフロン」を商標登録しているので、デュポン製フッ素加工フライパンは「テフロン加工フライパン」、デュポン制以外のフッ素加工フライパンは「フッ素加工フライパン」といいます。
どちらのフライパンも食材が焦げ付きにくいのが特徴ですが、高温での調理はNGです。特に空焚き状態が長く続くと、人体に有毒な物質(PTEEとPFOA)が発生します。
フライパンを使った焼き方だと空焚き状態になるので、テフロン&フッ素加工フライパンは松茸の焼き方には適しません。ですからフライパンを使った焼き方にする場合は、鉄製フライパンなどを使うようにしましょう。
松茸のおいしい焼き方【トースター】
トースターを使う焼き方は、家庭でできる焼き方の中で最もおいしく仕上げられるおすすめの焼き方です。火力が強いのでマツタケオールが消える前に焼き上げられますし、フライパンのように空焚きで有害物質が出る危険もありません。
しかも焼き上がりまでの時間が短いので、味・香り・食感を存分に楽しめる松茸の焼き方です。トースターでの焼き方の場合も、トースターに松茸を入れるまでの下準備はフライパンを使った焼き方と同じになります。
トースターを使う焼き方の場合にもアルミホイルを使いますが、これは網のにおい移り防止のためではなく、松茸から出る水分がロースターに落ちないようにするためです。
また松茸を入れる前にトースターを予熱で温めておくことも、トースターを使った焼き方のポイントになります。温まっていない段階で松茸を入れて焼き始めると、焼き方に適した温度になるまでに松茸の水分が蒸発するので、食味が悪いです。
なおトースターを使った焼き方では、トースターの機種によって庫内の温度や焼き加減が変わります。トースターの場合も焼き過ぎはNGですから、松茸の下に敷いたアルミホイルに松茸の水分が少し溜まってきた段階で焼き上がりとして下さい。
この段階だと見た目はまだ生のように見えますが、しっかりと中まで火が通っているので問題ありません。なお熱いうちに傘に入れておいた切り込みから松茸を裂くと、マツタケオールが一気に飛び出してくるので、裂くたびに香りが楽しめます。
簡単なのにプロの味が出せる
トースターを使った焼き方は短時間で仕上がるだけでなく、専門店のようなプロの味になるおすすめの焼き方です。高温で焼くので松茸に含まれる水分がしっかりと残りますし、調理器具のにおい移りの心配もないので存分に香りも楽しめます。
しかもトースターを使う焼き方なら、松茸の焼き方初心者でも簡単にシャキシャキした食感が残せるので、簡単かつ失敗のないおすすめの焼き方です。
松茸のおいしい焼き方【グリル】
グリルを使った焼き方は、「ホイルで包む焼き方」と「直火で焼く焼き方」の2種類があります。どちらの焼き方も簡単ですし、焼き方を変えるだけで同じ松茸でもまったく違った魅力を楽しめるところがおすすめです。
松茸の風味を閉じ込めるホイル焼き
アルミホイルに包んでグリルで焼く焼き方は、松茸の香り成分・マツタケオールを一切逃さないおすすめの焼き方です。
フライパンやトースターでの焼き方とは違い、アルミホイルに包む焼き方は「蒸し焼き調理法」になるので、火力が強いグリルでも焼き過ぎや焦げる心配がありません。
またアルミホイルを開ける瞬間まで香りは閉じ込められますから、香りを重視したい時におすすめの焼き方です。グリルで包み焼きにする場合は、粗塩と一緒に酒も少々加えてください。あとはアルミホイルを隙間ができないように折りたたみ、グリルで焼けばOKです。
グリルの火力にもよりますが、松茸をおいてから30秒~40秒経つと松茸を包んだアルミホイルが膨らみます。これは酒と松茸の水分が蒸発することで膨らむので、味・香り・食感に問題はありません。
直焼きで香ばしく
グリルでは七輪での焼き方と同じように、直接網にのせて焼くこともできます。この場合も焼き過ぎには注意が必要ですが、焼いている間も香りが楽しめるのでおすすめです。
松茸を存分に味わえる焼き方を試してみよう!
松茸は特別な調理器具を使わなくても、調理器具別のおいしい焼き方が分かれば簡単においしい松茸に仕上がります。特に松茸は香りが命ですから、焼き方のコツを覚えて自宅で絶品松茸料理を堪能してみませんか?