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里芋はどんな芋?
サトイモ科の植物・里芋は、東南アジアで盛んに栽培されているタロイモ類の仲間です。原産地であるアジア中心では多年草に区分されますが、冬が寒い日本では一年草の植物です。
極めて早い段階で日本に移入されたといわれており、稲作よりも早く里芋栽培法は伝わったといわれています。なお移入された里芋だけでないのが、日本の里芋の特徴です。
例えば鳥栖自生芋や弘法芋などは日本で野生化した里芋種ですし、全国各地で栽培されているため、地域ごとに里芋の品種やブランド里芋があります。全国で最も生産量が多いのは千葉ですが、宮崎、鹿児島、福井(大野市)、新潟(五泉市)も里芋の名産地です。
このように全国各地で様々な品種が栽培されている里芋は、里芋種によって収穫時期が違います。いずれの里芋種も栽培~収穫までの期間が長いのですが、1度に収穫できる里芋の量が多いので1年じゅうスーパーで手に入れられる人気の食材です。
そんな里芋ですが、鮮度が良いものほどおいしいといわれています。水分を豊富に含んでいるのが里芋の特徴ですから、収穫後も皮から水分が蒸発します。そのため里芋の販売は、鮮度を保つために泥つき・皮つきにするのが基本です。
里芋はぬめりが特徴の低カロリーな芋
一年じゅう食べられる里芋は、皮むきをしたときに感じるぬめりが特徴といえます。ぬめりのある芋類は里芋のほかにもありますが、いずれも皮むきがしにくいのが特徴です。
しかもぬめりがある芋類の多くは皮ごと食べられる品種ではないので、調理前に皮むきをするのが前提となります。
慣れればぬめりがあっても簡単に包丁でむくことができるのですが、家事初心者や包丁を使うのが苦手な人には、里芋のようにぬめりがある芋類の皮むきは苦手なことが多いです。そのため里芋は「おいしいけれど皮むきが面倒」といわれ、敬遠されることもあります。
ところが里芋は栄養が豊富なので、積極的に食べるのがおすすめの食材です。たんぱく質を多く含む芋類はカロリーが高いイメージがありますが、里芋はローカロリーな食材に区分されます。
里芋の種類によっても栄養成分は若干違いますが、生の里芋だと100gあたりのカロリーは58kcalしかありません。しかも皮むきの邪魔となる里芋のぬめりの栄養成分は、豊富な栄養を含む里芋の中でも特に貴重な存在です。
里芋の栄養は?
里芋にはさまざまな栄養成分がありますが、皮むきの邪魔とされるぬめりにこそ里芋最大の栄養成分が含まれています。一年じゅう手に入る上にローカロリーでおいしい里芋ですから、皮むきの面倒ささえなければ積極的に取り入れたいという人も多いです。
ところが里芋はじゃがいものように大きな芋類ではありませんから、ぬめりを意識せずに皮むきをするのは大変な作業といえます。
そのためあらかじめ皮むきされたものを時短レシピでは使うことが多いのですが、この方法では里芋のぬめりに含まれる栄養成分がほぼないので栄養面ではもったいないです。
ぬめり以外にも里芋には豊富に栄養が含まれていますから、「皮むきの邪魔になるぬめりはない方が使いやすい」という人も多いでしょう。ところが皮むきの大敵・ぬめりには、「ガラクタン」と「ムチン」という珍しい成分が含まれています。
ガラクタンやムチンは健康維持に役立つ栄養成分なのですが、その一方で皮むきを難しくさせるぬめりのもとにもなる成分です。ガラクタンやムチンは単体で生成されるものではなく、里芋のように多糖類のたんぱく質が多い食材に多く見られます。
なにしろ多糖類のたんぱく質と結合しなければ、ぬめり成分である2つの栄養素は生成されません。ちなみにガラクタンは免疫力に効果が高い栄養成分で、ムチンは胃の健康維持に役立つ栄養成分です。
ですから皮むきに面倒だからといってぬめりを取り除いてしまうと、里芋のぬめりに含まれる貴重な栄養成分が摂取できなくなります。
里芋の種類は?
皮むきには厄介な存在のぬめりですが、ぬめりのない里芋種は基本的にありません。ただし全国各地で栽培されているのが里芋ですし、種類によってぬめり具合には違いがあります。
そんな1年じゅうスーパーや八百屋に並んでいる里芋には、時期によって種類が違うことをご存じでしょうか?
地域特有の品種も含めるとかなりの種類がある里芋ですが、スーパーや八百屋に並ぶ一般的な里芋にターゲットを絞ると、季節によって取り扱う品種が分かれています。夏から秋にかけてよく出回るのは「ズイキ」で、7月初旬~10月中旬が旬です。
同じく夏に旬を迎えるのが「石川早生」で、8月中旬~9月下旬に多く出回ります。秋から冬にかけてスーパーや八百屋に並ぶ定番の里芋は「土垂」で、早ければ9月初旬から出回り始めますが、出荷のピークは9月下旬~12月下旬です。
ちなみに里芋は古くから縁起の良い食材として知られているので、縁起の良い食材がたっぷり詰まったおせち料理や雑煮に欠かせません。
そのため多くの里芋種は、11月下旬~1月にかけてさまざまな品種が出荷のピークを迎えます。ちなみに正月料理の食材として人気の里芋種・ヤツガシラは、12月上旬~1月上旬が出荷のピークです。
おいしい里芋の選び方とおすすめの保存方法
さまざまな種類がある里芋ですが、おいしい里芋には共通するポイントがあります。まず「ふっくらした丸みがある」というのがおいしい里芋のポイントです。さらに手に持ったときに重みが感じられるものは、身がしっかり詰まったおいしい里芋といえます。
保存する際は、常温保存がおすすめです。ただし土を落としてしまうと、皮から水分が蒸発してしまいます。ですから土がついたものを選ぶのがおすすめです。
保存方法は「常温保存」「冷蔵保存」「冷凍保存」があります。基本となる保存方法は「常温保存」「冷蔵保存」で、季節(気温や湿度)によって使い分けるのがおすすめです。
さまざまな種類の里芋が旬を迎える秋~初冬は、常温で保存します。直射日光が当たらず風通しの良い場所に置くことで、湿気と乾燥を防ぐことができます。
通常は袋または箱に入った状態で販売されていますが、保存のためには1つずつキッチンペーパーで包み、紙袋に入れてください。紙袋の口を折ることで乾燥が防げますし、光も遮断できます。この状態であれば常温でも約1ヶ月保存が可能です。
春~夏に出回る里芋は、冷蔵庫で保存しましょう。気温・湿度が高いため乾燥だけでなくカビが発生する原因にもなります。保存する際は常温の場合と同じように、1つずつキッチンペーパーに包みます。その後新聞紙でまとめて包んだらビニール袋に入れて封をします。
この状態で冷蔵庫に保存すれば、約2週間保存が可能です。ただし保存中も里芋は呼吸をするので、2日~3日でキッチンペーパーが湿ってきます。
湿ったままの状態ではカビが生えるので、湿ったタイミングでキッチンペーパーと包んでいる新聞紙を新しいものに交換するのがおすすめです。
冷凍庫で保存する場合は、キッチンペーパーではなくラップで包みます。冷凍専用の密封袋に入れて冷凍庫に入れれば、季節に関係なく約1ヶ月保存が可能です。
里芋の皮むきをする前の下ごしらえ
皮むきの方法はいくつかありますが、いずれの皮むき法でも下ごしらえが必要です。とはいっても皮むき前の下ごしらえは「汚れを落とす」ですから、コツなどなくても簡単にできます。ただし皮むき前の下ごしらえは、皮むきのやり方や保存方法によっても違います。
すぐに使わず常温または冷蔵庫で保存する場合は、洗わず湿気&乾燥対策をするのが下ごしらえです。ただし冷凍庫で保存する場合は、洗って汚れを落とした後、表面の水分をキッチンペーパーできちんと取り除くのが下ごしらえとなります。
さらに冷凍の場合は、ラップに包む前に包丁で切り込みを入れておくのもおすすめです。皮むきの下ごしらえは、「皮むき前に洗う方法」と「皮むき後に洗う方法」もあります。
皮むき前に洗う方法では、洗った後にしっかりと水気をとることが簡単に皮むきをするコツです。皮むき後に洗う方法は、包丁の扱いが苦手な人やぬめりで手が滑るのが嫌な人におすすめの皮むき法といえます。
丸い形をしている里芋は、表面の皮が濡れているとどうしても滑りやすいです。ですから泥がついていても洗わずにそのまま包丁で皮むきをした方が、簡単に皮むきができます。なお「皮むき後に洗う方法」では、皮むき前にあえて下ごしらえをする必要はありません。
基本!包丁で里芋の皮むきをする方法
煮物やおもてなし料理に使う場合は、単に皮むきをするだけでなく、見た目も美しく仕上げるのがポイントです。簡単に皮むきができる方法はいろいろありますが、基本となる皮むき法は包丁を使います。
里芋の皮むきの仕方:六方むき
包丁を使った皮むきでは、皮むきをしたときにカット面が6面になる「六角むき」が基本です。汚れを落とすための洗い作業は「皮むき前」「皮むき後」のどちらでも構いません。ただし皮むき前に洗うのであれば、皮むきの前に表面の水気をしっかり取り除くことが重要です。
なお洗う・洗わないのいずれの場合も、包丁および手の水気はタオルできちんと拭き取っておきましょう。用意ができたら包丁で皮むきをしていきます。最初に包丁を入れるのは「里芋の上下先端部分」です。
切り落とした部分を指で挟めば、安定しにくい里芋もしっかりホールドできます。あとは切り落とした部分に包丁を当て、反対側まで一気に包丁を進めます。
包丁を切り落とした部分に当てる際は、最終的に切り口の断面(上下どちらも)が六角形になるように意識してください。洗わずに皮むきをした場合は、包丁で皮をすべてむき終えた時点で水洗いして汚れを落とします。
皮むきをした里芋のぬめりを取る方法は?
皮むき後の里芋は、カットした面にぬめりがあります。ぬめりがあっても調理は可能ですが、きれいに仕上げたい時にはぬめりをとってから調理(茹でる)がおすすめです。ぬめりは簡単に取れます。
ボウルに皮むきした里芋を入れ、塩を一つまみ加えてください。あとは塩を全体にまぶすようにすると、表面についていたぬめりがきれいに取れます。
里芋の皮むきで手がかゆくなってしまったときは
皮むきが苦手という人の中には、「むいている最中に手がかゆくなる」という意見も目立ちます。そんなときにおすすめなのが「酢」です。
完全にかゆみがとれるわけではないのですが、かゆみを感じたときに手を酢につけると、かゆみの症状が軽くなることがあります。なお塩を手に付ける方法もおすすめです。
簡単!ゆでる里芋の皮むきの方法
六角むきにすると見た目がきれいになるのですが、生のままだとぬめりが強くてきれいな六角形に仕上げるのが難しいです。そこで六角むきを簡単にするのが「茹でてから皮むきをする方法」です。茹でてから皮をむく方法は、皮むきをするタイミングが重要になります。
まず里芋を茹でます。茹でる前の里芋は、表面のひげも含めて丁寧に汚れを落としてください。洗った里芋を鍋に入れ、水の状態から中火で加熱します。竹串がスムーズに刺さるまで火が通ったら、ザルに里芋をあげて冷まします。
ここでポイントとなるのが「いつ皮むきをするのか」です。ゆでたての里芋も皮むきすることはできますが、熱いうちは皮むきがしくいので、きれいに仕上げることが難しくなります。
ところが冷めた茹で里芋は皮がはがれやすいので、簡単に六角むきができます。ちなみに六角むきにしなくても、包丁で皮をむくなら「茹でてから皮をむく」が簡単にできるのでおすすめです。
時短!レンジを使った里芋の皮むきの方法
茹でてから皮をむく方法も簡単にできる皮むき法ですが、茹でる時間と包丁で皮むきをする時間がかかります。ところが電子レンジを使う皮むき法なら、簡単なだけでなく時短にもなるところがおすすめです。
まず電子レンジを使えば、茹で時間がいらないので時短になります。しかも包丁を使わずに一瞬で皮むきができるので、皮むきの時短レシピとしておすすめです。電子レンジを使う方法はプロも認める簡単時短レシピですが、電子レンジならではの注意点があります。
電子レンジは火を使わず電磁波で加熱をする調理器具です。そんな電子レンジは、食材に含まれる水分を吸収することで加熱が可能になります。
そのため電子レンジにそのまま里芋を入れると、加熱中に水分が抜けてしまいます。そこで電子レンジを使った時短レシピでは、里芋を1つずつラップに包んでから加熱してください。
またラップに包む前に里芋の中間あたりに包丁で切り込みを一周入れておくのが、時短皮むき法のポイントです。切り込みを入れておくと、里芋の上下をつかんで引っ張るだけでするりと皮がむけます。
これは里芋のみと皮の間に水分の層ができるためで、むく際に力を入れる必要もありません。ただし電子レンジで加熱する前に切り込みを入れておかないと、熱すぎて里芋に切り込みを入れる際にやけどをしていしまいます。
ですからちょっとしたポイントですが、事前に切り込みを入れておくことも電子レンジを使った時短レシピのコツです。なお時短レシピは「里芋が熱いうちに皮をむく」ということも重要になります。
せっかくむきやすくなった里芋の皮も、里芋自体が冷めてしまうと皮が身にくっつくため、きれいに皮むきをすることができません。
ですから電子レンジの時短レシピでは「切り込みを入れる」「熱いうちに皮むきをする」の2つが、簡単&きれいに仕上げるポイントです。
料理に合った里芋の皮むきをしよう!
皮むき済みの里芋も便利ですが、鮮度を維持するなら土つき・皮つきの里芋がおすすめです。土つき・皮つきの里芋は皮むきや下処理がやや面倒ですが、皮むき方法によっては時短におすすめの皮むき法もあります。
なお里芋の皮むき法はレシピによっても向き・不向きがあるので、レシピに合わせて選び分けるのもおすすめです。
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